3月10日 vs浦和レッズグランパス 2 ― 0 レッズ
―――Jリーグ発足当初からともにお荷物チームと言われたライバル同士。ベンゲル監督時代以降は強豪チームの仲間入りをし、2度の天皇杯制覇、リーグ優勝もあと一歩というところまで何度も迫ったことのある我らがグランパス。ピクシーのラストイヤー優勝で飾るためにもまず1勝し、勢いをつけたい。一方、一時はJリーグの上位にいながら、J2降格に、親会社のリコール隠しと地獄を味わったレッズ。この一戦は屈辱のJ2生活から這い上がってきて、悲願のJ1復帰第一戦。ともに高いモチベーションで望んだ開幕戦となった。―――



試合開始前のゴール裏。
リアクションサッカーのチームと同様、相手や試合の状況により声援の大きさが変動するシャイな名古屋人たちのグランパスサポーターもJ屈指のレッズサポの襲来に、自然と熱がこもってくる。「このチームには負けたくない!」意地と意地のぶつかり合い。お互いのサポーターが試合前からヒートアップし、試合会場である瑞穂球技場は異様な熱気に包まれていた。

2:02。雪まじりの雨が降る中キックオフ。
試合は、盛り上がるサポーターとは対照的に、初戦の緊張感からなのか前半はお寒い内容。それに伴いグランパスサポーターの声援は、レッズサポーターの迫力に押されたことも手伝って、しだいにボリュームダウン。まるでどちらのホームでやっているか分からない状態。

「うらーわレッズ!」
地響きのようなものすごいコール。スタンド全体が揺れるアウェイ側。

「おぉ!すげぇ!」
でも、こう思った時点で俺らの負けになる。

「ホームでいいようにやられてたまるか!」と気を取り直し、声を枯らすが、ホーム側ゴール裏は、声が出るのも揺れているのも俺らのいた一部だけ。「ヤバイ!このままだとやられる」そんな不安が空に広がる暗雲のようにグラサポを覆ってきた。そしてちぐはぐなまま0−0で前半終了。

危機感を持ったサポーターの中心メンバーにより、ハーフタイムに軌道修正のためのミーティングをし、気持ちを入れ替えて後半戦に臨んだ。

そしてその混沌とした状況を変えたのは、やっぱり我らが
大将ピクシー!年齢からかクロスが相手DFにあたったり、ボールを奪われたりするシーンが目に付いたが、勝負どころではキッチリ仕事をこなす。10回トライして、そのうち9回ミスしたとしても、1回の決定的な仕事ができる。さらに、相変わらず高いピチブーの決定力。(“日本代表候補”の名誉が泣いてるぞ!なぁ、福ちゃん。レギュラー奪えよ!)この1点が重い空気を蹴散らしたかのように空が晴れてくる。もうそこからは静まり返るレッズサポを尻目にボリュームアップ!今まで声出してなかった人も出すようになってきた。(うーん、やっぱり“リアクションサポーター”だ。まあ、しょうがないことだと思うけど)さらに、サポーターの勢いにのせられて追加点。「もう誰にももう一人のほうの平岡とは言わせない!」平岡“直起”のドンピシャヘッド。2−0になった時点でレッズの運動量が減り足が止まってからはイケイケ。もう、2〜3点入ってもおかしくなかったがそのまま2−0で終了。

しかし勝つには勝ったが、試合はまったくの凡戦で、反省材料の多いゲームだった。キャンプでの成果、チームとしての戦術や方向性が見えない。相手に助けられて拾った勝ち点3という感じ。このレベルの試合では俺が警戒している
ジュビロアント相手には通用しないだろう。今回の試合の一番大きな収穫は、ヴィッセルから移籍してきた海本と古賀の両CBに安定感があったことぐらいか。中盤のシステムはまだちゃんと機能していないように見受けられた。しかし、それらももう少し見てみないとなんとも言えないか。

さて、敗れたレッズを振り返ると、シンジのテクニックは流石と思わせるプレーもいくつかあったが、まだまだ全盛期には程遠く周りにも馴染んでない感じ。そしてトゥットはやはり危険な存在ながら、彼一人に頼りすぎにも見えた。岡野は相変わらず早いだけ。ディフェンスも穴だらけ。井原も衰えた。レッズはこのままだと1年で逆戻りもあるかも…。敵ながら心配。

ゴール裏の芝生席は見にくいけど、ピッチとの近さを考えると、やっぱり球技場はいい。陸上競技場はやっぱり陸上競技場でしかない。マラソンもあるし。あ、そういえば、天満屋の
山口衛里のチームメイトで親友の「松尾和美さん」。名古屋国際女子マラソン優勝おめでとう!シドニーではご一緒しましたね。こんなことになるなら、もっとお話ししておけばよかった。(笑)



―――チームもサポーターもこの勝利で浮かれることなく、まずは水曜日の大連戦でキッチリ勝って、ACWC準決勝進出はもちろん、次節の格下ジェフとの一戦もキッチリ勝って、今年こそ開幕ダッシュに繋げて欲しい。しかし、それにしても名古屋人はなんでシャイなんだろう?サッカー不毛の地「関西」の人間の俺が言うのも何ですが…。もちろん熱い人もたくさんいるんだけどね。“サッカー大好き”で血の気の多い、社長の素朴な疑問でした。―――






「今のはカードだろ!」
線審に怒るピクシー


はげ小野伸二をマークする
新加入の海本


試合会場の瑞穂球技場(ラグビー場)です。メインのホームスタジアム「陸上競技場」の隣にあります


ULTRASなどゴール裏のサポーター。私達もここで応援してました。高低差がないので背の低い社員には見づらかったようです

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